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バルト三国リトアニアのカナウスにある命のビザを発給した杉浦千畝の記念館

杉浦千畝記念館

 杉浦千畝さんは、第二次世界大戦中にリトアニアのカウナスに在った日本総領事館に勤務し、領事代理の役職にあった人で、当時ナチスドイツの迫害からリトアニアに逃れてきたユダヤ人達に、本国からの訓令に背いて人道上の観点から大量のビザを発給し、この「命のビザ」によって6000名以上の人命が救われたことで知られています。
 当時の日本領事館の建物が現在は杉浦記念館として保存されています。記念館はカウナスの中心街から離れた閑静な住宅街の中にある比較的小さな二階建ての建物でした。

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 記念館の内部の壁面には、戦時中の状況や救われた人達の写真などが展示されています。まずは杉浦千畝さんの生涯や「命のビザ」を発給した顛末をまとめた15分間のビデオを見せてもらいます。

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 その後記念館の内部を見学します。当時の執務室が再現されていて、背後に日の丸が掲げられた机の上にはビザを発行した人名のリストや実際に発給したビザのサンプルが展示されていました。
 サンプルを見ると杉浦千畝さんの手書きで「通過査証 加奈陀行 敦賀上陸東都経由」と書かれていました。船舶で敦賀に到着後東京に移動して、その後カナダに向けて出国するという内容の通過査証のようです。
 おそらく直接日本へのビザではなかったことが、たとえ本国からの訓令に背いても大きな罪にはならないのではないかと判断されてビザの発給に踏み切られたのではないかと思われます。

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 記念館の中には土産物の売店もあって、杉浦千畝さん関連の色々なグッズが販売されています。キーホルダーやマグネットや栞などですが、一番の目玉は包装紙に「杉浦記念館」と書かれたチョコレートです。
 包装紙には杉浦千畝さんが家族と共に写っている写真や、ビザを求めて領事館に押し寄せた人達の写真も印刷されています。板チョコの形のものと小さなチョコが12個入った箱入りのものがあり、板チョコはミルク味とセミスイート味があります。もちろん私も買って帰りました。

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 館内の一室に紙の箱が置いてあり、中に小さめのリンゴが10個くらい入っていて、「杉浦記念館のリンゴ。ご自由にお取りください。」と書かれていました。これは記念館の敷地内にリンゴの木が植えられていて、そのリンゴの木から獲れたリンゴなのです。リンゴの木を下から見上げるとたくさんのリンゴがなっていました。

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 建物の一角にガラス窓があるのですが、当時受付時間外に来た難民がビザを求めてこのガラス窓を叩きに来たのだそうです。

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カウナス市内観光

 カウナスはリトアニア第二の都市で、カウナスの中心街は記念館のあたりとは違って高いビルが並んで建っている都会でした。杉浦千畝さんは、当時戦局が厳しくなってから領事館を閉鎖して本国に帰国するために一旦カウナス市内のメトロポリス・ホテルに宿泊しましたが、そのホテルにまでビザを求める人達が来て彼はビザを書き続けたそうです。
 そのホテルには建物の壁に彼の記念碑が埋め込まれているとのことで見に行ったのですが、残念ながらホテルは工事中で記念碑を見ることはできませんでした。

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 カウナスには15世紀に建てられた煉瓦造りのペルクーナスの家や、白くて美しいカウナス旧市庁舎やリトアニア最大のバロック建築である聖ペテロ&パウロ大聖堂があります。聖ペテロ&パウロ大聖堂の外壁には、2018年9月に訪れたローマ教皇フランシスコのパネルが掲げられていました。

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 聖ペテロ&パウロ大聖堂の内部の装飾は華麗で、精緻な漆喰彫刻や彫像が施されていて実に見事です。リトアニア人は敬虔なカトリック信者が多いので、都市ごとにこのような立派なカトリックの教会があります。

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 このあとシャウレイにある十字架の丘へ向かいます。

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