露店でのパームシュガー造り
観光3日目はカンボジア北部の隣国タイとの国境近くの山の上にある「プレアヴィヒア寺院」遺跡に行きます。
シェムリアップからは片道3時間半もかかるので昨日まで乗っていたマイクロバスではなくて、今日は大型のバスに乗ってホテルを出発します。郊外のガタガタ道を長時間乗っても大型バスでなら苦痛ではなくなります。
出発してすぐに、ツアー参加者の一人が麦わら帽子を買いたいと言い出したため、途中道端にある商店に立ち寄ることになりました。
バスを降りて商店に向かいましたが、商店と言ってもむき出しの地面の上に簡易の小屋を建てただけのものでした。
店先で店員が何やら鍋に棒を突っ込んでかき回していたので、何をやっているんだろうと近くで見ると、パームシュガーを作っているのだと判りました。
パームシュガーは食べても血糖値が上がりにくいことで最近注目されているお砂糖です。店の人が近くに生えているパルミラヤシの花の蕾を採ってきて、店先で蜜を採取して鍋で煮詰めて砂糖を作っているのでした。
鍋の近くには原料になるヤシの花の蕾が置かれていました。鍋はグツグツと沸いていて白い湯気が上がっており、良く見ると鍋の横に黒く焦げた蕾が転がっているので、蜜を採取した後の蕾を燃料に使っているようです。
この店では作ったパームシュガーを売っていて1個試食させてもらいましたが、やさしい素朴な味わいでした。それにしても自動車が行きかう道路の道端でお砂糖を作っているなんて信じられません。衛生状態は大丈夫なのでしょうか。
ピックアップトラックに乗り換え
麦わら帽子も買えたのでバスは再出発します。信号はほとんど無くバスはひたすら道路を走り続けます。途中「Preah Vihear Boutique Hotel」という自然に囲まれたホテルの2階のテラスで早めの昼食をとり、さらにバスで30分くらい走ってようやく目的地に到着しました。
「プレアヴィヒア寺院」は標高600mの山の頂上にある寺院の遺跡で、「天空の寺院」と呼ばれています。麓にある観光センターで四輪駆動のピックアップトラックに乗り換えます。
トラックは運転手の他には助手席に1名と後部座席に2名が乗り込み、中に乗れなかった人はトラックの荷台に乗って出発します。現地ガイドと参加者の男性1名が荷台に乗る事になり、私は助手席に座りました。
道路は舗装されていて最初はそれほどでもなかった傾斜が山上に近づくにつれ急な傾斜になってきます。山上に近づくと地面からたくさんの岩が飛び出した場所に出ます。そのまま進むと間違いなく車の底に岩が当たってしまいます。
運転手は止まりそうなくらいの遅いスピードまで速度を落として、岩を避けるように頻繁に左右にハンドルを切りながら、ゆっくりと慎重にトラックを先に進めて行きます。
タイとの国境に立ち寄り
無事に到着してピックアップトラックを降りてからは徒歩で寺院に向かいます。「プレアヴィヒア寺院」の一番手前の、そこから右に曲がると寺院に入って行ける場所に辿り着いた時に現地ガイドが「せっかくだから、タイとの国境を見に行きましょう。」と言い出して寺院とは反対方向の左に曲がって石の階段を降り始めました。
「プレアヴィヒア寺院」には以前はカンボジア側からだけでなく、タイ側の観光ルートからも観光客が訪れてきていて、この階段はその時の名残りなのだそうです。
タイとの領有権の争いが決着して、プレアヴィヒアの土地がカンボジアの領土であると認められてからは、タイ側からの観光ルートは閉鎖され、この階段は使われなくなったのだそうです。
現地ガイドの後を追って石を並べて造られたられた長い階段を降りていきます。下まで降りて階段を見上げると相当な高さだと判ります。
階段を降りて100mくらい進んだ所にある干上がった小さな川がタイとカンボジアとの国境なのだそうです。国境のカンボジア側には建物が建っていて人が住んでいましたが、タイ側には人の気配はありませんでした。
国境には有刺鉄線が張られ、地雷原であることを示す赤いドクロマークの看板が取り付けられていました。
プレアヴィヒア寺院
再び長い階段を汗をかきながら戻り、「プレアヴィヒア寺院」に入っていきます。「プレアヴィヒア寺院」は看板に全体図が示されているように、長い参道を進んで行った一番先の、飛び出した山の先端の断崖絶壁にある遺跡です。
長い参道を通り、いくつかの建物跡を通過しながら先に進んでいきます。平坦な道だと思っていたのですが、結構な上り坂でツアー参加者は互いに励ましながら先に進んで行きます。
断崖絶壁からの絶景
ようやく辿り着いた崖からの眺望は絶景でした。タイとの国境の階段の下からここまで、息を切らせながらずいぶんの高さを登ってきたかいがありました。
崖からの景色を動画に撮影したので添付します。すこし霞んで見えるのは、あちらこちらで野焼きをしているためです。
写真も添付します。2枚目の写真に四角い池が見え、その左下にさきほど四輪駆動ピックアップトラックに乗り換えた観光センターが見え、ずいぶん高い所まで登ってきたことが判ります。
さっきまで麦わら帽子を被っていた人が被っていなかったので、どうしたのかと聞いてみると、崖の近くに立った時に突然崖下から強い風が吹き上がってきて、麦わら帽子が空に飛ばされてそのまま崖下に落ちて行ってしまったそうです。せっかく買ったのにと残念がっていました。
崖の近くには石を積み上げた祭壇が設置され、黄色い傘が差しかけられていて、ここが寺院の遺跡であることにあらためて気付かされました。
帰りは四駆ピックアップトラックで観光センターに戻り、大型バスで3時間半かけてホテルに戻ります。「プレアヴィヒア寺院」の観光は丸一日がかりでした。
今日はホテル内の日本食レストランでの夕食です。明日は最終日ですが、午前中はフリータイムなので「トンレサップ湖」という湖の観光に出かけようと思います。
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